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2008年4月29日 (火)

ゴルフの起源につき

ゴルフがセント・アンドリュースで楽しまれはじめるより前のことにつき、触れてみます。

定年退職する前、北フランスのベルギーとの国境に近い、進出したばかりの日本の自動車メーカーの工場に勤務していました。日本から大勢のトレーナーさんが現地のメンバーの指導に来ていましたが、現場の通訳だった僕は、トレーナーさんたちからゴルフを教えてもらい、その難しさと楽しさを知るようになりました。

ベルギーにはきれいなゴルフ場が沢山あり、フランス側には、住んでいた町から高速道路で15分のところに牧場に接した美しいゴルフ場がありました。覚えたての頃、夜勤明けで昼ごろ目を覚ますと、ひとりでこのゴルフ場へでかけたものでした。

前夜に雨が降ったり、まだ雪がところどころに残っていたりする日には、そのゴルフ場でフランス人たちが長靴を履いてラウンドしている姿をよく見かけました。まるで畑の中を歩くような恰好でプレーしています。それは、紳士のスポーツと言われているイメージとは、かなりかけ離れたものでした。

日本にいる時、僕は若くて自分で金を稼いでいなかったこともあって、ゴルフに対してはむしろ悪感情を抱いていました。スポーツとはどこか粗野でしかも大衆的でなければならないものと思い込んでいたものでしたから、ゴルフなんて金持ちのお遊びじゃないかと。国土の狭い日本で広い場所をとり、会員権に法外な金を払い、さらに高いグリーンフィーを払わなければできないゴルフなんて。金持ちだけが遊べ、大抵のサラリーマンは、仕事の一部としてか、単にエリート意識を満足させるためにやってるだけじゃないか。真にスポーツというに値しないと思っていたものです。自分でやってみて、こうした見方が、多分に偏見に過ぎないことがわかりましたが・・・。

その北フランスのゴルフ場でみた光景は、僕が抱いていたゴルフのイメージを大幅に変えるに十分なインパクトを持っていました。長靴を履いて、雨の日の晴れ間にちょっとそこらを散歩してくるといった気軽な感じで「この人たちはゴルフを楽しんでいる。彼らがラウンドのあとクラブハウスで地ビールを傾けながら仲間同士でふざけあう様子はまことに楽しそうでした。

その地方は昔フランドルといいました。ブルゴーニュ公国の領土になった時代もあったし、現在の北フランスとベルギー、オランダまで広がっていました。

いつだったか、長い冬が明け、春の日差しが暖かく射していた日曜日、工場の仲間と近所のウオーキングにでかけたことがありました。ゴルフ場の近くの村を通り抜けたとき、テニスコートくらいの広場で、村の若者たちが十人ほど、ちょうどバレーボールのようにふた組に分かれ向かい合って、堅そうなボールを手のひらで打ち合って遊んでいたのです。

「ああ。ジュ・ドウ・ポームだ。」とっさにパリのチイルリー公園の西端にある小さなオーカー色の建物を思い出しました。大革命の頃、ここの遊技場に人々が集まって重要な決議と宣言をしたのでした。その遊技場で行われていたのは、テニスとバレーボールの合いの子のようなもので、堅いボールを手の平で打っていたことから「ジュ=ゲーム」「 ポーム=手の平」と呼ばれていました。村の若者たちは、昔どおりのパフォーマンスでゲームの保存をしていたのでした。

現代スポーツの起源を探ると意外に面白いことが発見できます。スペインとの国境近くバスクのバイヨンヌにはシステラの博物館があって、昔使った道具が展示してあります。その中に、まるで昔、貧乏だった日本の少年たちが親に作ってもらった手製のミットやグローブそっくりの布製の手袋があります。システラはテニスと野球の起源とも言われています。

いまや世界中の民衆が熱狂しているサッカーは、村と村とで農民が太陽を奪い合う象徴的な祭りに起源を発している。サッカーボールは農民にとり、かけがえのない太陽のシンボルだと。それで、ヨーロッパの民衆は、あんなにもサッカーに熱狂し強いのだ、と言う説があります。

ゴルフの起源につき。羊飼いが持っていた杖で地面の石ころを叩いて飛ばしたのが始まりだとか、いろいろ唱えられています。ブラッセルの美術館は16世紀フランドル派の絵画の宝庫ですが、ここには冬景色の中の氷の上でアイスホッケーをして遊ぶ子供や村人たちの絵が幾つも壁に掛けてあります。

あるとき、僕はゴルフ雑誌で、オランダに「コルフ」という名の村があり、こここそがゴルフの発祥地だとする記事に出会いました。フランドル地方の漁民たちが、木製の硬く平たいボールを長い柄で打ち合って、町の家々のドアを標的にぶつけて遊んでいた。そして、そのボールが昔の漁船の中から発見され、英国へ輸出されていたことがわかった、とありました。

しばらく経ってから、こんどは本格的なゴルフ大陸起源説に出会いました。1099年、日本の頼朝が鎌倉幕府を開く100年程前に、ノルマンデイーは、ソンヌ川の河口、サント・ヴァレリーから数百隻の船が英仏海峡を渡り英国のハスチングに上陸し、たちまちロンドンを占領しロンドン塔を建てます。ウィリアム征服王の英国上陸作戦です。このとき、ウイリアムに従って沢山のフランドルの領主が家臣をともない英国に渡りました。征服を達したあと彼らは英国やスコットランドに住み着きます。彼らが日常を楽しんでいたゲームを現地の英国やスコットランド人に教え、それがスコットランドにゴルフの発祥地としての栄誉を与えることとなったのだと、おお筋こういう説でした。僕は、この説は歴史の裏付けがあり、工場近くのゴルフ場で見た、フランドルの人たちのゴルフの楽しみ方から見ても、案外、的を得ているのではと思うのですが、皆さんはいかがですか?



http://www.sorintei.com

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