« 屋根職人の道具 | トップページ | 工事完了 »

2008年5月20日 (火)

10年保証

投稿者:ゲストハウス「叢林亭」http://www.sorintei.com

フランスには10 年保証という法律があり建設業者は施工後10年間、工事の保証をしなければなりません。

リュシアンは若い二人、時に三人を上手に使いながら黙々と仕事を続けてゆきました。

Sommet4 瓦屋根の工事が5日で済んだのを見て、スレート部分は面積が約2.5倍だし、技術的に少し難しそうだから、工事期間は瓦屋根の3倍と見ていました。ところが実際は7倍かかりました。予算はこれだけと親方に頼み、見積も瓦屋根の3倍弱でしたから、7倍の時間を掛けたスレート工事の利益は相当薄くなるだろうと余計な心配までしました。

リュシアンは決して急ごうとはせず、若い衆を叱ったりもせず、自分が手本を示しながら丁寧な仕事を続けました。

瓦屋根の時は、欠けたり傷んだ瓦を取り換えましたが、3分の2は元の古い瓦をそのまま使ったので材料費は僅かで済みました。その冬で一番寒かった週だったので現場主任のマルセルは親方に通勤手当を要求すると言いましたが、最終日に親方が現場の確認と請求書を手渡しに来た時の、現場の三人の様子から親方は要求を容れなかったと判断できました。

Detailtuile マルセルは親方に内緒でと言いながら余った材料と引換に何がしかの飲み代を請求しました。きっちり三等分するのだとも言いました。50キロほどもある鉛の板のロールや5mの垂木など乗用車では運びにくくて欲しかった材料が手に入るので、もともと多少の志をあげる積りだったので喜んで取引に応じました。

親方の見積もりはかなりどんぶり勘定で余った材料の処分は現場主任に任されている。現場の三人は自分らのサラリーと比べて親方は相当に儲けていると知ってるので特別手当を要求したり、要求が容れられなかった仕返しに余った材料で僅かばかりの小遣い稼ぎをしたのだろうと推察しました。

2pic1copy マルセルと違ってリュシアンは自分に厳しい職人気質に見えました。リヨン地方の訛りのある話し方で時に息子には親父の権威をみせる言い方をして息子が反抗するようでした。親父の跡を継ぐのかと訊くとメカが好きらしく建機の運転手になるのだと答えました。

手間が掛っても丁寧な仕事をする。リュシアンはそれを職人の誇りとしているようでした。工事の進捗状況からの納期管理も現場主任の判断に任せているようでした。親方は本来、コストと品質の管理の他に納期も管理しなければいけない筈ですが、この親方は町の名士と狩猟に行くなどして仕事を取ってくる。もっぱら営業活動を親方の職分と定め、納期に関しては、いい加減。だから、1年以上客を待たせて現場は計画通り行かないとか、平然と言うわけです。

2000年の突風で沢山の屋根がやられ職人が引っ張りだこ。完全な売り手市場でした。1年以上待ったのだから、こちらも時間をかけて丁寧な仕事をしてくれた方がありがたい。施工後10年間は保証を義務付けられているのだから手抜きはできない。週35時間労働という社会党政権時代に北の工業地帯の中心リールの市長も務めるオブリー女史が作った法律も遵守しなければならない。フランスはやはり顧客主体よりも働く者中心の社会なのだと納得させられました。

Tetelou 1889年にこの家をルペルチェ侯爵未亡人から購入したヴィクトール・フレデリック・ルルー(狼)氏は屋根に風見の雄鶏の代わりにオオカミの頭を載せました。錆や汚れを落とし、塗装しなおして葺き替えが終わった屋根の頂上に据えつけました。最後に出窓の修理をして工事は完了しました。

この記事はゲストハウス「叢林亭」http://www.sorintei.comに関するものです。

|

住まい・インテリア」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1025232/21056407

この記事へのトラックバック一覧です: 10年保証:

コメント

コメントを書く