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2009年11月 4日 (水)

ジャック・クールの生涯-その3

投稿者:そうりん亭ジャーナル「りゅーらる」:http://www.sorintei.com

アザンクールの戦いがあった1415年はまだ、シャルル6世の治世だった。

英国に大敗を喫したシャルル6世はなんと敵将であるヘンリー5世に娘のカトリーヌを嫁がせる。

シャルル6世と息子のシャルルはまだパリに居たのだが、王妃のエリザベス(通称イザIsabeau2 ボー)・ド・バビエール(ミラノ公の娘:タデ・ヴィスコンテの娘)がブルゴーニュ公ジャン・サン・プール(無畏公と訳されている:怖いもの知らずのジャン)と結託し、夫の出自であるアルマニャック派と対立させたため、パリではブルゴーニュ人による反乱、市街戦が起こる。

1418年5月28日から29日にかけての夜、大規模な反乱が、さらに8月20日には、乞食、ヤクザ者、アウトローなどを操ったブルゴーニュ派がアルマニャック派を襲撃し、バスチーユの監獄を襲い、女子供も含め約2万人が殺害された。

身の危険を感じたシャルル王太子(後のシャルル7世)は少数の護衛に守られ、パリを脱出、50km南のムラン(Melun:現在はセーヌ・マルヌ県の県庁所在地) に落ちのびる。さらにロワール河を超え、ブルジュに亡命した。

1419年9月10日、ムランの近く、セーヌ河と支流ヨンヌ川の合流地点にある街モントローSans_peur4 で和平会議を開かれるが、ブルゴーニュ公ジャン・サン・プール(無畏公)は暗殺される。

シャルル6世とヘンリー5世はほぼ同時期に他界する。

シャルル6世には12人の子供がいたが多くは早死にし、2人だけ残っていた息子も兄が1417年に病死したため、11番目の子供であったシャルルが正統な王位継承権を得て王子となった。ジャンヌダルクに導かれて、シャルルがランスで戴冠式を挙げ正式にフランス国王となるのは1429年7月17日のことである。

この時代、ペストが流行り、パリはブルゴーニュ公と結んだ英国のベッドフォード公の支配下に落ち、財産を持った商人や金貸しのフランス人はパリを逃げ出し、荒れ放題となった。

ブルジュに落ちのびたシャルル王太子は、ベリー公の支持者だった人々に迎えられ、彼らの協力を得て堅固な行政府を作ってゆき、敵方から、「ブルジュ王」と呼ばれるようになる。

J_de_berry2 ベリー公ジャン(1340~1416)はシャルル6世の父、シャルル5世の弟で、シャルル王太子(7世)にとって大伯父(従祖父:おおおじ)にあたる。ベリー地方の首都だったブルジュは当時、フランスの宗教界で重要な地位を占め, また商工業が盛んだった。

ベリー公ジャンは芸術愛好家で、いわゆるパトロン、フィレンツエのメデイチ家のようなメッセナの役を果たしていた。そのためブルジュにはヨーロッパ中から芸術家が集まり活動していた。

「ベリー公の小時禱書」の挿絵装飾画はフランドルの写本装飾家リンブルグ(またはランブール)兄弟の手になる当時の国際ゴシック様式を代表する、青などの色彩鮮やかな美しいミニチュア画。Berry6

リンブルグ兄弟は最初、ブルゴーニュのフィリップ大胆公に仕えていたが、やがてベリー公のために、これらの後世に残る写本画を作った。この時禱書の絵は当時の宮廷のみならず農民や町人の服装、生活スタイルを見せてくれる貴重な資料だ。

ベリー公が作らせた時禱書は現存するものだけで6種類もある。

有名なものだけ挙げると。

1)「いとも豪華なる時禱書」
  (シャンテイイ城内、コンデ美術館蔵)Très Riches Heures du Duc de Berry

2)「いとも美しき時禱書」(パリ国立図書館蔵)
  Très Belles Heures du Duc de Berry

3)「美しき時禱書」(ニューヨーク・メトロポリタン美術館蔵)
  Belles Heures du Duc de Berry

Limb3  この時禱書の挿絵に出てくる絵をご覧いただきたい。当時の宮廷人は、こんな服装をしていた。ベリー公の肖像もそうだが従者たちも重そうな布地のマントを着て、帽子を被り、襟飾り、袖の先に毛皮の装飾が付いている。

シャルル7世のな肖像画にはもっとはっきりと毛皮の Chrl72使用が

認められる。

ジャック・クールの父親の職業はこの毛皮商だった。ベリー公とさらに シャルル王太子の宮廷に出入りする「宮廷御用達」の毛皮商人として財をなした。

(続く)

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