ギリシャの財政危機 -その2:不労所得の夢
ギリシャの公務員の数は100万人。人口が1千万強なので10人に一人が公務員になる。
公務員は数々の特権を享受しているという。表向きの収入の2倍から3倍も収入が在るという説もある。休暇が多い上、ほとんどが勤務時間に遅刻してくる。遅刻せず出勤した者に手当てが付くというからあきれる。
勤勉で名高いドイツ人が、援助を渋るはずだ。20年我慢して刻苦精励して東西統一後の経済的困難を乗り越えたのに、こんなぐうたらばかりに易々と金出してやれるか。援助に反対していたエンゲラ・メルケル首相は、ユーロが崩壊してもいいのかと最後は脅しに押された形で同意したが、直後の選挙で重要な協力者2人を失ってしまった。
労働基準法に違反してまでも、責任感からか、残業し、規制を超えた時間を申告せずに働きぶりを見せる日本人の涙ぐましいまでの「働く」ことへの倫理観と比べると別世界の感じがする。
ギリシャの余波を受けて、フランスでも昨日政府が緊縮財政を打ちだした。役人、警察官、予審判事、裁判所、教員、看護士・・・等々の数を減らす政策は批判を受けながら着々と進められて来た。そのうえまたかと批判再燃。
行革の言葉ばかり横行し実態が伴わない日本はやはり役人天国だと思う。
既得権を失いたくないのはギリシャのお役人に限った事ではない。
働かなくても収入があり、リッチに暮らせたら・・・金利生活者の夢は、昔から人間の懶惰な心を誘惑して止まない。
MLMとかネットワークビジネスはこの金利生活者の夢が、実現するような言葉を誘い文句に使う。「権利収入」「不労所得」・・・。
一時的に、今、死に物狂いで働いておけば、将来働かず、ほったらかしで収入が入り続け、裕福な、余裕のある、悠々自適な生活が実現します。ほんとかもしれない。そういう身分になりたいなと夢に誘われる。
20世紀の初頭、ヨーロッパからアメリカに移民がぞくぞくと押し寄せたのも、アメリカには、自由があり、意志と能力とチャンスさえあれば富豪になれる夢に促されてのことだった。
そんなアメリカで生まれたMLMというビジネス・スタイルは、この人間の権利収入、金利生活、不労所得への夢をうまく利用している。非常に革命的なビジネス形態といえる。
かのマルクスでさえ、「働かなくても金が入ってくる社会」が実現するなどと言っていない。
「好きな時に、好きなだけ働いて応分の暮らしをする」と言っただけだった。にもかかわらず、搾取され続けていた労働者には、「天国が地上に実現」するかのような革命的な宣言として受け取られた。
実際、革命政権が権力を握ると資本家よりさらに激しい搾取をされ、少しでも批判すれば強制収容所へ入れられてしまう。党官僚がのさばる体制を作ってしまった。
ギリシャのお役人たちは、共産党宣言の夢を先取りしてしたのか?ソ連も東欧の社会主義圏の国々も個人の自由が抑圧されていた社会を変えるために、もう一度革命をやった。
印税や著作権など権利収入で豊かに暮らせる人は、ごく一部に限られているだろう。それを目指して日々ビジネスに打ちこむには不労所得への欲望と執念がよほど強くなければなられない。
キリスト教の最後の審判でも、天国へ行ける人は、一握りに限られてる。「力を尽くして狭き門より入れ」と聖書も言ってるではないか。
作家や作曲家、歌手の方々も、本が売れない、不法ダウンロードが絶えずCDが売れないなど現実は甘くない。
MLMをやってる人の中には、1個数十万円もするソフトを不法ダウンロードして仲間に配り、人助けだと自慢する人もいる。
江戸時代に義賊といって、金持ちの家に懲らしめに忍び入って財宝を盗み、貧しい人々に別け与える盗賊がいた。
代表が「鼠小僧次郎吉」である。
「ねずみ小僧」の名前を思い出した時、どっからともなく声が聞こえて来た。
その声は、「ゾなしだぞなもし・・・」と言った。「はて?・・・ぞナシとはなんだ?ぞなもし?」
やがて「コゾウ」からゾをとると、あるぜんぜん別の意味を持つ言葉になるとわかった。
「ネズミ講」!!
これこそ「不労所得」の夢を実現する最高の仕組み。
しかし、法律で禁じられているからやってはいけない。
講の会員になっただけで処罰される。
だれの心の底にも不労所得、年金生活への憧れがあることは否定できない。
その夢と憧れに促され、限られた貴重な人生を棒に振るか、執念深く最後までやり続けるかは各人の価値判断の問題である。
「成功するまでやり続ける者が成功する」。
論理学的にいえばトートロジーであるこの定言を信じてビジネスをやり続けられる人は、「信じる者のみが天国へゆける」宗教の信者と共通の心を持っている。
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